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さて、当たり前かもしれませぬが、従来の道路網(一般国道など)は、道路法にそれぞれの性格付けがなされ細かく路線の該当条件が定められていて、それに応じて路線の指定を行なう。いわば道路網のあり方は道路法内で完結していたわけで、道路網を作ることでおのずから国土の理想的な編成や効率的な道路交通は実現できるような考え方を取っていた。言い換えると、これが道路法から読みとれる道路行政における道路網と国土編成との関係についての考え方である。 ところが高速道路の場合は、高速自動車国道の路線を指定して道路行政に組み込む以前に、国土開発幹線道路(以前は国土開発縦貫自動車道)の予定路線という形で道路網が所与のものとして与えられている。

また、その道路路線の基本的な性格も基本計画として既に与えられている。 戦後高速自動車道路ネットワークの構想が提唱され始められたときから、日本の高速道路網は国土開発(国土復興)の一環として扱われてきた経緯がある。今日でも全国的な道路ネットワークがまず構想され、それに応じて順次道路を作っていくという考え方を取っている。国土計画という達成すべき目標があってその手段として目的を達成するのにふさわしい道路網を建設しようとい考え方であり、そのため、国土計画の目標に応じて道路網整備の優先順位が自ずから決まってくる。これはある意味では国土計画という政策目標を掲げた合理的なやり方のように思えるが、露骨に言えば、国土計画に地元の路線を組み込んでもらうことが政治になり、路線表を組み上げることが行政になるやり方でもある。全体構想ありきだから、往々にして「○○キロメートルの道路網」という数字がひとり歩きする元凶でもある。 高速道路について理解する際には、道路法を元にした道路行政以前の、国土計画や道路ネットワーク構想の理解が欠かせない。むしろこの国土計画や道路ネットワーク構想の部分こそが、道路法の外側に顕在化したもうひとつの道路行政であり、それがどのような手続き(法令)でなされるかを追っていくことが高速道路網の歴史を語るときの主要なテーマになり得る。

もうひとつ、日本の高速道路事情を複雑にしているものがある。 国土計画があり道路網の性格付けが決まっただけでは、道路はできない。道路の延長は際限がなく財源は限られている。実際どこから財源を確保して、どのようなスキーマで建設していくかといった整備手法こそ、政治家の腕の見せ所であり、官僚が知恵と調整力を発揮する所である。 これも最初は、高速道路ネットワークひいてはその背後にある国土計画を実現するための、やり方にすぎなかった。

ところが財政の行き詰まりによって、計画実現のために財源を手当てするという考え方から、限られた財源でどうやって計画に近付けていくかというふうに、発想は逆転する。この発想の逆転が当初の高速道路ネットワーク構想を歪め、事情を複雑にしていく。道路特定財源日本道路公団、高速道路料金プール制といった昨今議論かまびすしいのはこの整備手法の分野である。