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遠い国のことも、身近に感じるものである

移動

欧州、つまりヨーロッパで最初に馬車が栄えたのは古代ギリシャです。戦車に用いた二輪の馬車が中心ですが、荷物の運搬や旅行にも馬車が用いられました。宿屋が整備されていない当時、旅行用馬車が現代のキャンピングカー代わりになりました。古代ローマでも上流階級の人々はよく旅行をしました。

彼らが馬車の中で寝泊まりするのはごく普通のことでした。4世紀に始まる民族大移動の際も馬車に寝たであろうことは想像に難くありません。やがて14世紀に入り、馬車に革命が起きます。それまで馬車と言えば、車体が直接車軸の上に載っているため、道路の凹凸がそのまま振動となって伝わりました。したがって長時間馬車に乗るのは、かなりの苦痛でした。この欠点を取り除くために考え出されたのが、車体をロープや鎖で吊るし、地面の振動が直接伝わらないようにした懸架装置、つまりサスペンションです。

このようなサスペンション付きの箱型馬車を特に「コーチ」と呼びましたサスペンションを取り付けたことにより馬車の乗り心地は格段に改善され、王侯貴族を中心にコーチが急速に普及しました。馬車は単なる実用の道具ではなく、上流階級のステータスシンボルになりました。彼らは派手な衣装に身を包んで町中をドライブして、その権勢を誇示したのです。

ときには戦場にまでコーチで乗り付けることもあり、士気の低下につながるとして禁止令が出されたほどでした。馬車のデザインや機能も多様化し、豪華な装飾を施した儀式用や、屋根の付いた旅行用のコーチなどが作られました。そうした注文を受けてコーチを作る「コーチビルダー」は花形職業となりました。そのため現代でもキャンピングカーの架装メーカーは「コーチビルダー」と呼ばれています。