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同じようにできたらどんなに楽しいことでしょう

とんでもなくバイクの扱いが上手いMotoGPライダーたちのライディングスタイルに繋がる起源を辿っていくと、1970年代後半に登場したケニー・ロバーツが最初のゲームチェンジャーのひとりとして浮かび上がってくる。当時のWGP最高峰だった500ccクラスのマシンの性能限界はまだまだ低く、マシンに負担をかけない直線的なライディングスタイルが一般的だった。これは排気量500ccの2ストロークエンジンから繰り出される強大なパワーが、当時の車体やタイヤの性能を遥かに上回っていたからだ。そんな状況の中で、ダートトラック出身の米国人ライダー、ケニー・ロバーツはこの限界を超越してみせた。

彼は車体とタイヤが持つ弱点に突破口を見つけ、優れたスロットルコントロールで理論的なグリップ限界の更に上までプッシュすることを可能にしたのだ。またロバーツは、コーナー内側に大きくハングオフすることで、膝を路面に擦り付けながらどこまでコーナーリングの限界に近づくことができるかを探り続けていた。こうしてロバーツは、恐竜たちを絶滅させた小惑星のように1970年代以降におけるGPの歴史を一気に塗り替えてしまった。2000シーズンを前にミック・ドゥーハン(オーストラリア出身、1994~1998シーズンGP500ccクラス5連覇)が引退し、GP界は再びヨーロッパ出身ライダーたちが主導権を握りはじめたが、その潮流を決定づけたのはヴァレンティーノ・ロッシという新たなゲームチェンジャーの登場だった。

あらゆる面で驚くべき才能の高さを見せつけたロッシは、テクノロジーの進歩へ素早く適応しながら、限界を更にプッシュする能力を持ち合わせていた。その巧みなレース構成力と幅広い対応力はまさに群を抜いており、彼は125/250/500の各クラスを次々に制覇し、やがて新生MotoGP時代の盟主として君臨していく。この頃、MotoGPレギュレーションの制定によって4ストロークエンジンが主流となり、急激にマシンの性能が上がった。しかし、「伝統的ライディングスタイル vs. スーパーバイク由来のライディングスタイル」という構図においてどちらがより効果的であるかについては当初まだ誰も結論を見出せていなかった。ロッシはそうした議論を尻目に、グリップ重視のコーナーリングとタイヤをスライドさせるコーナーリングの両方を自在に使い分けてみせた。過去のあらゆるスタイルを統合し、その上に新たなスターが現れるというこのスポーツの循環構造は、ロッシの登場によって再び印象づけられることになった。